ファクタリングの歴史
ファクタリング(factoring)とは、企業が保有する未回収の売掛金をファクタリング会社が買い取り、現金化するサービスのこと。日本でも徐々に浸透しつつある資金調達法ですが、このファクタリングにはどのような歴史があるのでしょうか。以下にまとめてみました。
ファクタリングの発祥は?
ファクタリングが生まれたのは、16世紀のイギリスと言われています。18世紀から19世紀にかけては、イギリスとアメリカ移住者間の交易(毛織物の売買)で使用されました。
その後はアメリカで発展し、現在と同じ形でファクタリングが利用されるようになったのは19世紀末~20世紀の初頭にかけて。もともと繊維業界で発展してきたファクタリングですが、繊維製品の交易が低調になったため、「売掛先の信用調査に基づく資金提供」に特化するようになったのです。
100年以上の歴史を持つ金融手法で認知度も高いことから、中小企業の資金繰り方法として欧米では一般的なファクタリング。現在でも、アメリカのファクタリング市場規模は日本の5~10倍と言われています。
ファクタリングが日本に来たのはいつ?
日本にファクタリングが入ってきたのは、1970年に入ってからです。しかし、当時の日本で主流となっていたのは手形取引。そのため、一般的にファクタリングが普及することはなく、利用していたのは大手金融機関のほんの一部でした。また、債権回収における信用調査のノウハウやスキルが未熟だったという点も、ファクタリングの普及を妨げた一因と言われています。
なかなか普及しなかった日本のファクタリングですが、1991年頃のバブル崩壊によって主流だった手形取引数が減少。これまで手形取引を行っていた企業は、売掛金を現金化する手段を失ってしまったのです。その頃からファクタリングへの関心度が高まり、徐々に多くの企業に利用されるようになっていきました。
日本市場への浸透とこれから
日本でファクタリングが浸透し出したのは、2005年に「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」が制定されてからです。これにより債権譲渡における登記制度が確立し、これまで複雑だった手続きが簡略化。しばしば起こっていた債権の二重譲渡といったトラブルの防止につながり、債権譲渡をしやすくなったのです。
欧米に比べて日本のファクタリングの歴史は浅いですが、ここ5~6年でファクタリングを取り扱う会社は数十倍にも増加。サービスも多様化し、資金繰りに悩む中小企業の頼れる味方となってきています。信頼できるファクタリング会社を選び、上手に活用することで安定的な企業運営を目指していきましょう。
大手証券会社で長年営業に従事してきた1級ファイナンシャルプランナー。現在は2児の母。自営業の夫の仕事を手伝う傍ら、自身の経験を活かし、ウェブライターとして活動中。わかりやすいをモットーに、さまざまな場面でのお金について解説します。
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