製造業(メーカー)
製造業(メーカー)は売掛金を回収するまでに必要な資金が多く、販売から入金までの期間が長いのが特徴で、売掛金の入金が遅れると資金繰りが悪化し、経営危機に陥ります。しかし資金繰りが悪化した製造業(メーカー)でも、建て直すことはできます。ここではファクタリングを利用して資金を調達し、業績を向上させた事例を集めました。
滞納分の社会保険料を支払い、銀行融資を受けられた事例
食品加工製造業を営んでいる経営者は、資金繰りのために、新たな銀行融資を受けようとして税理士に相談しました。しかし、社会保険料を滞納していたため、「決算前までに滞納分を支払わなくては銀行からの融資は難しい」との答えでした。
このように、税金や社会保険料を滞納していると、銀行の融資が受けられないことがあります。カードローンやノンバンクの利用も考えてもよいのですが、利息が高く、帳簿上、赤字ができてしまうのがデメリット。
そこで、この経営者はファクタリングを利用して滞納分の保険料を払い、銀行融資を受けることにしました。
銀行融資までのつなぎ資金をファクタリングで確保
菓子製造卸売業の経営者は、新商品を作って売上を拡大するために、新しい機械を購入して、従業員を増やしましたが、新商品の売り上げは設備投資の金額よりも少なく、半年間、経営者が赤字分を補てんして機械の代金を支払っていました。
しかし、徐々に資金繰りが悪化。銀行融資を受けることにしましたが、決済手続きに時間がかかり支払期日に間に合わず、ファクタリングを利用しました。ファクタリング事業者に、即日で売掛金を買い取ってもらえて、無事、期日通りに代金を支払うことができました。
創業間もない製造業者のファクタリング活用事例
創業から間もない製造業者は、まだ決算を迎えていないために、銀行からの融資も受けられない状態でした。取引先への納品から入金までのタイムラグが3ヶ月と長いので、資金繰りが難しく、入金を待っている間に別の取引先からの大量受注が決まると、必要な仕入れや外注費用に困るような状況で、このままでは倒産してしまいます。
そこで、銀行やノンバンクよりもファクタリング会社に、未回収の売掛金を買い取ってもらって資金を調達。材料の仕入れや外注費などの支払いを済ませて、大量受注にも対応することができました。ファクタリングは「借入金」ではないので、会計上の「負債」とはならず、企業の信用を損ねません。
その後、取引先の数も売り上げも増え、黒字で決算を迎えて、銀行からも融資が受けられるようになりました。
ファクタリングは「融資」ではなく「売掛金債権買取」、手数料を取って売掛金を買い取るビジネスです。銀行やノンバンクで融資を断られた場合、手数料は利息よりも高い場合もありますが、もし信頼できる取引先との、まとまった金額の売掛金があれば、ファクタリングの活用を検討してもよいでしょう。
(2級FP技能士・AFP)
大阪府出身。大手金融機関で企業年金試算を担当。22年の夫の母の介護でお金の問題に悩み、FP資格を取得(2級ファイナンシャルプランナー)。FP Womanの『女性のための「お金」と「人生」に効くコラム』をはじめ、複数のメディアで「ライフプランニングとお金」をテーマに執筆活動中。