介護業
日本の高齢化を背景に拡大していく介護業界ですが、「要介護度の変化による利用者の増減」「過酷な労働条件による離職率の高さ」と「介護報酬支払いの遅れ」という、資金繰りを悪化させる独特な事情があり、銀行からの融資が難しい場合があります。そんな時に「ファクタリングを活用する」という方法もあることを覚えていてください。ファクタリングを利用し、破たんを回避した介護業者の事例をみてみましょう。
介護報酬支払いの遅れをファクタリングで解決
介護報酬支払いは「遅れること」が頻繁にあります。介護報酬の請求は1か月単位で、ケアマネージャーがケアプランに応じた実績を国民健康保険団体連合会に報告し、介護報酬を請求します。ケアマネージャーの報告実績と介護サービス提供者の報告実績が合っていれば、翌々月の25日に介護報酬が支払われます。
もし、ズレがあった場合、介護報酬は返戻となり、支払われません。その場合は誤りを訂正して次月に再請求しますが、これが「介護報酬支払いの遅れ」の原因。入金は遅れてもスタッフの人件費や設備のリース料、家賃など月々の経費は支払わなければなりません。そこで、早ければ即日に入金されるファクタリングを利用するというのも選択肢の一つになります。
業績拡大のための資金を調達した訪問介護サービス事業者
訪問介護サービスをはじめて3年目。経営が順調で、スタッフ増員の資金が必要になり、銀行に融資の相談をしたけれども断られたケース。創業して間がない企業が銀行から融資を断られることはありますが、ファクタリング会社を利用すると資金を調達できる可能性が高いです。介護報酬は医療報酬と同じように市町村が事業者に支払っているので、ファクタリング会社にとって「確実に回収できる売掛債権」ともいえるもの。買い取り条件が有利になることもあります。
スタッフに支払う給料を、ファクタリングを活用して調達した介護業者の事例
デイサービス(通所介護)を運営している経営者のケース。要介護度が上がり、通所できなくなった利用者が立て続けに出て、収入が減りました。その上、月末に入金予定だった介護給付費の入金が遅れると判明。スタッフに給料を払えなくなりそうでした。そんな時には銀行融資より審査も入金も早いファクタリングを利用すると、厳しい状況を乗り切れることがあります。
介護施設を運営する場合、人件費や固定費が意外にかかり、資金繰りが悪化することもあります。まだ支払われていな介護報酬は「売掛債権」という貴重な財産。ファクタリングをうまく使いこなしてください。
(2級FP技能士・AFP)
大阪府出身。大手金融機関で企業年金試算を担当。22年の夫の母の介護でお金の問題に悩み、FP資格を取得(2級ファイナンシャルプランナー)。FP Womanの『女性のための「お金」と「人生」に効くコラム』をはじめ、複数のメディアで「ライフプランニングとお金」をテーマに執筆活動中。