情報通信業
情報通信業には独特な経営リスクがあります。「開発したシステムに頻発するバグ」「開発の予算超過」「納期が遅れる」「派遣したシステムエンジニアが突然やめてしまう」「クライアント企業の現場部門が新システム導入に反対する」「発注企業との訴訟」など。
システムトラブルで納期が遅れ、入金も遅れることが常態化しがちな業界で、資金繰りに悩む企業も多く、ファクタリングは資金調達の手段として、有力な選択肢になるでしょう。情報通信業のファクタリング事例を見ていきましょう。
大手企業(ユーザー)のシステム開発を手掛ける中小企業(ベンダー)のリスク
ユーザーからの依頼でシステム開発をするベンダーは、基本的にシステムが完成しなければ報酬を受け取ることができません。そのため、実際に入金されるまでの長期間、システム開発にかかる人件費やコンピューターなどの備品費、事務所の家賃や水道光熱費などの固定費を、ベンダーが負担しなければなりません。資金力がなければ続けることができない業種ですが、大手企業の売掛金は信用度が高く、ファクタリングを行う場合は、手数料が安くなる可能性があります。
EC事業を行なうベンチャー企業が、3社ファクタリングを利用
ネット業界のビジネスは、初回無料や利益の出ない価格でサービスを始めて、認知度が上がった後に、徐々に価格を上げて売上を確保することが多いです。ECサイトの場合、サービス開始から入金までが最短で3~4カ月後。売上は順調でも入金までの期間が長いため、資金繰りに苦しむケースがあります。ECサイトはクレジットカード決済を扱っているため、ファクタリング会社に売掛債権買取を依頼した場合、クレジットカード会社と話し合うことによって、手数料の安い3社ファクタリングでの資金調達が可能です。
システムエンジニア派遣事業者がファクタリングで人手不足を解決
創業間もないシステムエンジニア派遣業。残業が多いために従業員が大量に辞めてしまったため、一時的に外注のエンジニアを雇って人員を補充しているケース。営業利益に直接つながらない費用が経営を圧迫し、新しい仕事の話がきても、必要な先行投資の資金が足りません。その場合、ファクタリング会社に依頼すると、銀行融資よりも早く人材確保と先行投資用の資金を調達することができます。
情報通信業は、取引先の信頼度が高いので、ファクタリング会社との売掛金買取の交渉を、スムーズに進めやすい傾向があります。
(2級FP技能士・AFP)
大阪府出身。大手金融機関で企業年金試算を担当。22年の夫の母の介護でお金の問題に悩み、FP資格を取得(2級ファイナンシャルプランナー)。FP Womanの『女性のための「お金」と「人生」に効くコラム』をはじめ、複数のメディアで「ライフプランニングとお金」をテーマに執筆活動中。